スペインでひとつチーズを挙げるとしたら、この『マンチェゴ』でしょう。マンチェゴ種という羊のミルクから作られる、スペインを代表する羊乳のハードチーズです。スペインの食べ物といえば、どちらかというと魚介類や生ハムなどを使ったものをイメージしやすいですが、ちゃんとおいしいチーズが作られています。しかもその産地はスペイン中央部のラ・マンチャ地方、かの「ドン・キホーテ」の物語の中でも”味の良いチーズ”として登場しているぐらいの一品なのです。
ちょっと固めの食感があり、その味は羊乳特有のねっとりとしたコクと甘みが感じられます。乾燥した広大な平原に放牧された羊の濃厚なミルクからは、野生のハーブや木の実の香りがほんのりと漂い、この濃厚で甘いミルクがチーズの豊かな風味にも影響しているのです。脂肪分もやや高めで、ミルクが凝縮した旨みを十分に感じとれることでしょう。またこうした特徴は赤ワインのお供にピッタリですので、ぜひご一緒にお楽しみください。
飲んで騒ぐことが大好きなスペインの人々は、仕事帰りには飲み屋さんに立ち寄って、赤ワインとこのチーズを楽しむのだとか。「パンとワイン、そしてマンチェゴ」それだけでスペイン人は幸せな気分になれるんだそうです。スペインチーズは小規模生産者が多いこともあって、まだ日本で見かけることも少ないのですが、こんなおいしいチーズもあるということを覚えておいてください。 (チーズの表皮には、縄目模様のワックスがついていますので、はずしてお召し上がりください。)