
『バノンA.O.P(A.O.C)』は、1個「100g」と、とても小さなシェーブルチーズです。栗の木の葉で包まれ、ラフィヤ椰子の葉で作った紐で結んだ姿が特徴です。日本のレストランのプラトーでも見かけることもありますので、バノンという名前は知らなくても、1度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
栗の葉で包まれたチーズは、バノンだけではなく、『トム・デ・キャトル』や、『シャテニエ』などがあり、シェーブルの季節は、目にする機会も増えます。栗の木の葉は秋に収穫し、熱湯消毒して使用するそうです。バノンの場合は、熱湯消毒してやわらかくなった葉をオードヴィーという果物から作ったお酒に浸してからチーズを包みます。
バノンは、地中海に面したプロヴァンス地方で作られるシェーブルチーズです。プロヴァンス地方は年間を通じて温暖で雨が少ないため、牧草地が少ないのが特徴です。そのため、乳牛だけでなく、羊や山羊のミルクを使ったチーズ作りも盛んな地域です。
バノンはその昔、季節によって原料乳が異なりました。牛乳、羊乳、山羊乳から作られていましたが、1994年にA.O.P(A.O.C)を申請するにあたって、A.O.P(A.O.C)認定のバノンは、山羊乳から作られるチーズとなりました。もともと山羊乳から作られるシェーブルタイプのバノンが一番伝統があり、おいしかったことが決め手になったようです。2003年A.O.P(A.O.C)を獲得した今では、更に山羊の品種を限定していく方向で取り組みが始まっています。ただ、今でも、牛乳、羊乳製のバノンは見かけます。
栗の木の葉の色が青々とした緑色のものより、少し茶色がかったものの方が葉の渋みが柔らかくなっていておいしいので、選ぶ時にはお気をつけ下さい。
A.O.P(A.O.C)取得年 | 2003年7月 |
種類別 | シェーブルタイプ |
産地/指定地域 | アルプ・ド・オート・プロヴァンス県、ヴォクリューズ県、ドローム県、オート・ザルプ県 |
原料乳 | 山羊乳(無殺菌乳) |
熟成期間 | 最低15日間、そのうち10日間は栗の葉に包んで熟成する |
形と重量 | 直径7.5~8.5㎝、高さ2~3㎝、重さ90~110g |
固形分中乳脂肪 | 最低40% |