
『ボーフォールA.O.P(A.O.C)』はアルプスのサヴォワ地方の山のチーズです。山のチーズを好む方には、このフレーズだけで、そのおいしさを推し量ることができるのではないでしょうか?
もう1つボーフォールのおいしさを表現してみましょう。“ザ・プリンス・オブ・グリュイエール”、かの有名な美食家ブリア・サヴァランの称賛の言葉です。加熱圧縮して作ったチーズの中のプリンス、とでも訳せばよいのでしょうか。もうこれだけで、ボーフォールの味わいに期待が高まります。ちなみにボーフォールは、スイスのグリュイエールと似た味わいですが、ボーフォールはより強いコクがある傾向があります。
サヴォワ地方といえば、4800メートルのモンブランなど、標高の高い山々が連なる山岳地帯で、夏には草花が咲き乱れる牧草地帯でもあります。夏の間、アボンダンス牛はこれらの草花を存分に食べます。だから夏作られるボーフォールは“エテ”や“アルパージュ”と呼ばれ、入手が困難になるほどの人気ぶりです。草花を食べて育った牛の乳は豊な香りに富み、しいてはその乳で作ったチーズもおいしくなる訳です。しかも、最低でも5ヶ月間は熟成させるのですから、その味わいは濃厚さを増します。
ボーフォールは、「フォンデュ・サボヤード」というフォンデュを始めグラタンやタルトなどサヴォワ地方の料理には欠かせない存在です。冬はスキー場になるような山岳地帯での冬の生活では、保存がきくチーズは貴重な食材だったにちがいありません。サヴォワ地方の郷土料理にはそうした生活に根付いたチーズを感じさせます。
夏作られるボーフォール“エテ”や“アルパージュ”を味わえたら、チーズの醍醐味をまた1つ知ることになるでしょう。
A.O.P(A.O.C)取得年 | 1968年4月 |
種類別 | 加熱圧搾タイプ |
産地/指定地域 | サヴォワ県、オート・サヴォワ県 |
原料乳 | 牛乳(無殺菌乳) |
熟成期間 | 最低5ヶ月 |
形と重量 | 直径35~75cm、高さ11~16cm、重さ20~70kg |
固形分中乳脂肪 | 最低48% |