
チーズの魅力といえば、あの芳醇な香りもその1つですよね。初めて出会ったチーズの漂う香りを嗅ぎ、どんな味わいのチーズなんだろうなんて、想像をめぐらすのも嬉しい楽しみの1つです。中でもウォッシュチーズは香りの強いチーズの代名詞になっていますが、そのウォッシュチーズの中でも、その香りの強さで注目するのはマンステールです。
マンステールは、その昔、2つの名で呼ばれていました。アルザス地方ではマンステールとロレーヌ地方ではジェロメです。そこでフランス政府は1978年マンステール・ジェロメとして命名を認めました。日本ではマンステールという名のほうが有名ではないでしょうか。
マンステールという名の由来は、フランス語で修道院を意味するモナステールからきているといわれています。あれまた修道院?って思った方は、かなりチーズにのめりこんでいる方なのではないでしょうか。チーズの起源をひもといていくと、修道院や修道士からうまれたチーズが多いのに気付きます。マンステールを始め、マロワール、ルブロション、サン・ポーランなどがそれにあたります。どうして修道院なのでしょうか?それは、フランスにおける修道院の役割に関係があります。その昔、チーズは庶民の保存食としての位置付けが高く、一部の上流階級をのぞき、庶民のチーズといえば貧困をあらわす言葉でした。修道士達は、苦しい農民の食生活を支えるため、少しでも多くの農作物が収穫できるよう、農民達の日々生産向上に取り組みました。そして各地でチーズが造られ、それを地元の庶民達と分け合ったのです。もともと修道士達は、フランス文化伝承という目的のため、ワインやチーズの研究や製造は行っていましたから、ノウハウのベースはあったことも一言つけくわえておきます。チーズの美味しさとともに、そのチーズのもつ歴史を知ることで、チーズのおくゆかしさを感じるものです。そういった一面をマンステールに感じませんか。
ちなみにマンステールの古典的なフランス庶民流の楽しみ方は、焼き立てのアツアツの皮付きじゃがいと一緒に食することなんですって。
A.O.P(A.O.C)取得年 | 1969年5月 |
種類別 | ウォッシュタイプ |
産地/指定地域 | ヴォージュ、オー・ラン、バ・ラン、ムルト・エ・モゼル、モゼル、オート・ソーヌ、テリトワール・ドゥ・ベルフォール |
原料乳 | 牛乳 |
熟成期間 | 大型最低21日間、小型最低14日間 |
形と重量 | 大型/直径13~19cm、高さ2.4~8cm、重さ450g以上 小型/直径7~12cm、高さ2~6cm、重さ最低120g以上 |
固形分中乳脂肪 | 最低45% |