
食通をうならせるカマンベール、それがフランスのノルマンディー地方のカマンベールです。カマンベールと名がついたチーズはイギリス、スイス、ドイツ、デンマーク、オーストラリア、日本など、世界各国で生産されるようになっていますが、『カマンベール・ド・ノルマンディー』と名乗れるのは、フランス産、それもノルマンディー産のものだけです。
ではフランス政府に認められているノルマンディー産のカマンベールは、それらと何が違うのでしょうか。
フランスの最北端に位置するノルマンディー地方。フランスでも有数の酪農地帯です。チーズの他に生クリームやバターも1級品。三ツ星シェフ御用達の乳製品の宝庫です。ノルマンディー地方は豊かな自然にあふれています。特にすばらしいのが年中牧草が生えていることです。「牧草?牧草が生えているだけでいいの?」と思われるでしょう。通常牧草が生えていない時期の牛達は何を食べているか知っていますか?乾草やサイレージとよばれるトウモロコシなどの発酵物を飼料としています。この乾草の管理を怠るとカビの温床になり、カビはチーズに苦味をもたらします。時にはチーズが破裂することも。自然に生い茂る青草に勝るエサはないのです。深みのあるチーズの味わいはこれらの青草をたくさん食べた牛達がもたらしてくれるのです。
そしてもう1つ。ノルマンディー地方で飼育されている牛たち“ノルマンド種”はチーズ作りに最適です。乳脂肪が高く、香りも高い、しかも乳をよく出す。三拍子揃ったかわいい牛たちがこの地方の強みです。例えば日本の乳牛はホルスタイン種が多いですが、乳脂肪や蛋白は低めです。だからチーズ作りはあまり向かないのです。
そして、最後にもう1つ。ノルマンディー地方の人達の誇りです。この誇りこそがチーズ作りの高い技術を維持しています。
カマンベールの特級品『カマンベール・ド・ノルマンディー』。芳醇な香り、リッチな口どけ、力強い味わい。これほどまでに多くの人に愛され続け、食べずにはいられないチーズは他にはないかもしれません。様々なカマンベールがありますが、1級のカマンベールを知りたいならカマンベール・ド・ノルマンディーで決まりです。
A.O.P(A.O.C)取得年 | 1983年12月 |
種類別 | 白カビタイプ |
産地/指定地域 | カルヴァドス、ウール、マンシュ、オルヌ各県の指定村落 |
原料乳 | 牛乳(無殺菌乳) |
熟成期間 | 最低21日間 |
形と重量 | 直径10.5~11cm、高さ3cm、重さ250g以上 |
固形分中乳脂肪 | 最低45% |