
山羊チーズ『サント・モール・ド・トゥレーヌ』は、春が特においしい季節です。
一目でサント・モールとわかる外観がこのチーズのトレードマーク。細長い薪のような形、中央に通る1本の藁、表面には木炭の灰色。
パリのマルシェ(市場)に出ているチーズ屋さんや、片隅に数種類のチーズだけが並んでいるような街角のよろず屋さんは、ネームプレートがおいてなく、価格のみ書かれたプレートが無造作においてあるだけなんてことも多いもの。外観だけではよくわからないチーズは、「何ていう名前?」「どういう味がするんだろう?」とちょっと不安になったりすることもありますよね。聞けばいいんだろうけど、なかなか聞きづらい雰囲気のお店もなかにはあったりして。
地元密着のチーズ屋やマルシェでは、昔は美しいパリジェンヌだっただろう筋金入りのおばさまが店員ということが多々あります。そういう店は狭かったり、お客さんにあふれていたりして、もたもたしてられない。次から次にお客さんはくるし、常連さんらしき人と話し込んでたりして。でも名前を確認しなくても、一目でそれとわかるサント・モールであれば余計な心配はいりませんね。
この『サント・モール・ド・トゥレーヌ』は、フランク王朝の終わり頃にイスラム教徒がもたらしたのではないか、と言われています。フランス占領を目的にやってきたイスラム教徒達が、戦いに敗れ、彼らが食料用に連れてきていた山羊を置いていったことがきっかけで作られるようになったのようなのです。こうしてアラブの食文化であった山羊チーズがヨーロッパにもたらされたのですね。
『サント・モール・ド・トゥレーヌ』が特においしい春の季節に、旬のチーズを味わってみてはいかがでしょうか。
A.O.P(A.O.C)取得年 | 1990年6月 |
種類別 | シェーブルタイプ |
産地/指定地域 | ヴィエンヌ、アンドル・エ・ロワール、ロワール・エ・シェール、アンドル |
原料乳 | 山羊乳(無殺菌乳) |
熟成期間 | 最低10日間 |
形と重量 | 細長い筒状直径4.5~5.5㎝、長さ16~18㎝、重さ約250g |
固形分中乳脂肪 | 最低45% |