
フランス産は“おいしい”というイメージがありますが、中でもチョコレートは1級品という印象がありませんか?名実ともに近年ますますその印象は強くなる一方ですが、その美味しさの秘密の1つは、生クリームにあると専門家から聞きました(おいしいチョコ作りには生クリームは欠かせません)。同じレシピでチョコレートを作っても、なかなか同じおいしさが日本では再現できないことが多いそうです。もちろんカカオ豆の品質や焙煎のテクニックなどいろいろな要素はあるのですが、生クリームの品質は国産とフランス産では大きく違うそうです。
チーズの話じゃないのかと思われる方がいらっしゃると思うので、そろそろチーズの話に戻りますが、生クリームもチーズも乳から作られるもの。そう、フランスの乳原料の品質の素晴らしさをみなさんにお伝えしたかったのです。
その世界で名高い品質を誇るチーズや生クリームですが、これにはフランスの農業政策にも大きく関わっています。AO.C.認定についても厳しい審査を設けることで、伝統品の保護と育成をしているのです。チーズ好きの方はお馴染みのAO.C.ですが、チーズ、生クリーム、バターの酪農品のほかに、ワインなどの農作物もその対象です。そう私達がフランスっておいしいものがたくさんあると思っている品々は、国が総力をあげて守り、築き上げているものなのです。そういうお国柄もステキに感じませんか。
それでは、A.O.P(A.O.C)認定がどれほど厳しい審査を通過してきたのかモンドールで見てみましょう。まず原料になる乳について、指定された7つの地区の、標高700m以上の牧場でとれた牛乳を使うこと。牛の種類は、モンベリアールドゥ種又はピー・ルージュ・ドゥ・レストであること。これらの牛の飼料は規定地域内の牧草であること、その他の発酵飼料を使用してはならないこと。そして、生産は8月15日~3月15日の期間内であること。
チーズの製法については、無殺菌の生乳に凝乳酵素を加えただけのものから作られること。乳は凝乳酵を添加するときに1度だけ、40℃以下で加熱できるがそれ以上の回数や温度の加熱は禁じる。軽いプレスだけ、形を整え、形は円形であること。色は白かアイボリーカラーであること。熟成期間は最低でも3週間。重さは500g~1kg、1.8~3kg。乳脂肪は固形分100g中に少なくとも45g含まれること。チーズの周囲にはエピセアがまかれることなど。なんて厳しい(小うるさい?)チェック項目なのでしょう!これならおいしさを維持してくれそうですね。
モンドールは秋の訪れを感じさせる名品です。どうぞ、A.O.P(A.O.C)規格をクリアしたチーズ作りに思いを馳せながら味わってください。
A.O.P(A.O.C)取得年 | 1981年3月 |
種類別 | ウォッシュタイプ |
産地/指定地域 | ドゥージュラ山地、スイス国境とドゥー川源流及びドゥーの滝によって区切られた地区 |
原料乳 | 牛乳(無殺菌乳) |
熟成期間 | 最低21日間 |
形と重量 | 重さ480g~3.2kg |
固形分中乳脂肪 | 最低45% |