女性がひとりでも楽しめるワインバー

以前、このコーナーで取材させていただいたワインバー【銀座シノワ】にいらっしゃった以後さんと、【渋谷シノワ】にいらっしゃった久子さんご夫婦が、この【KISSAKO】をオープンさせたのが2001年のことでした。

「女性が一人で来ても、グラスワインと美味しい料理を楽しむことができるような雰囲気を作りたかった」とのことですが、その目論見どおりのお店となっています。目立つ看板や案内が出ているわけではありませんが、通りに面した大きなガラス窓から覗く店内の雰囲気に誘われて、何屋さんかも分らずに訪れるお客さまがいらっしゃるというのも頷けるようです。

食事のお客さまも、最近は遅めで8時くらいから、食事の後のワインを楽しむ二軒目としていらっしゃる方は10時くらいからの来店が多いそうです。

お蕎麦やジビエまで楽しめるのも【KISSAKO】ならでは

グラスワインが目当てのお客さまが多い【KISSAKO】ですが、フレンチのシェフの手による料理も人気です。特に、わざわざお蕎麦屋さんで学んだという十割の［手打ち蕎麦］は有名で、ワインの後の締めにご注文される方が多いのだとか。

今回ご紹介していただいたのは、きのこと茄子のマリネに、スライスされたパルミジャーノが乗せられた一品。これには白ワインがよく合います。

もうひとつのお皿は、何と「トナカイの肉」。これはシェフが北欧料理のお店を手伝った折りに、トナカイの肉の美味しさを知り、去年から冬場になるとトナカイを飼育している北海道の牧場から取り寄せているのだとか。

トナカイだけでなく、エゾ鹿のステーキなどもあるため、こうしたジビエ料理にあわせるために、夏にはあまり飲まれなかったローヌ地方のワインをご注文される方も多いのだそうです。

食後のワインに合わせてチーズも良く出るとのことで、2000年にはじまった「チーズプロフェッショナル呼称資格認定試験」を受験されるような、チーズに詳しいお客さまもかなり増えてきているようです。

チーズプレートには、ハードが3～4種類、白カビ、ウォッシュ、青カビがそれぞれ2～3種類ずつ揃えられていました。冬には、この季節のチーズである『モンドール』のご注文が多くなり、『ミモレット』などもよく出るとか。写真では、シェーブルは少なめになっていますが、これは季節柄のこと。夏場になると山羊乳のものが豊富になるそうです。

ウォッシュタイプのチーズは、ちょうど良い熟成状態のものが用意されているため、毎回その美味しいウォッシュを選んで注文する常連さんもいらっしゃるとか。これもチーズの回転が良いという背景があってのことかもしれません。

また、チーズに良くあうライ麦クラッカーのカブリや自家製パン、枝付きのレーズン、お好みでハチミツなども用意されています。

良質のグラスワインを楽しむ

【KISSAKO】の魅力は、毎日8種類前後が用意されているグラスワインが楽しめるところでしょう。ワインセラーの8割方がフランスワインで、リストには200種類ほどが掲載されています。

最近は「ビオディナミ」を注文されるお客さまが増えてきているとか。ボージョレ・ヌーヴォーも話題にはなっていますが、“質の良い、美味しいワインをリーズナブルな値段で提供する”ことにこだわりを持つ【KISSAKO】ですから、「それよりもお薦めしたいワインはたくさんあります」とのことでした。

写真は、左から、白がロワールの［サンセール・ラ・ブルジョワーズ・ブラン］。赤がブルゴーニュの［ポマール・プルミエ・クリュ（98年）］と、ボルドーの［クロ・デュ・マルキ（97年）］。いずれもグラスワイン用に用意されています。

夏場には、「シャンパン→白→赤」という流れで注文される方も、寒くなってくると「シャンパン→赤」になるなど、季節によって楽しみ方の違いも見受けられるそうです。

店名の【KISSAKO（キッサコ）】とは、禅の言葉“喫茶去（お茶でもどうぞ）”から来ているのだと思われますが、音の響きの良さも、歓待の意味も含めて、とてもステキな店名だと思います。

（写真は、今回お話をうかがった以後久子さん）

所在地：	〒106-0047　港区南麻布5-1-1　PLAZA KAY 2F （最寄り駅・地下鉄日比谷線／広尾駅）
電話：	03-5475-5920
FAX：	03-5475-5921
E-mail：	igo@kissako.jp
URL：	http://www.kissako.jp
定休日：	日曜・祝日
営業時間：	18:00～27:00
予算：	10,000円