皆さんは“パセリ入りのチーズ”ってご存知ですか?
フランス語でいうと「Fromage a pate persillee」となります。この“Fromage”はチーズ、“pate”はチーズの生地のこと。そして“persillee”は「パセリの~」という意味です。
フランス語では「Fromage a pate persillee」と呼ばれるこのチーズ、フランス語の本にもたくさん出ています。ヨーロッパのチーズを食べたことも見たこともなかった時代には、日本では「Fromage a pate persillee」は、もちろん直訳されて「パセリ入りのチーズ」と訳されていました。
パセリの正体は…
しかし、やがてヨーロッパのチーズがあれやこれやと日本に入っているに至って、大きな間違いに気づいたのです。これが「パセリ入り」ではないことを…!
もうお気づきでしょうか。“Persillee”とは、「パセリ入り」ではなく、「パセリ状の」、もっと言えば「パセリ状にカビの入った」という意味で使われていたのです。つまりこれは青カビチーズのことだったのです。
これを戦前の日本では、大真面目に「パセリ入りのチーズ」と訳していたのです。ちょっと笑い話のようですが、見たことも食べたこともない食べ物を文章で読んだだけで翻訳しているのですから、仕方ないことなのかもしれません。
見た目は確かにパセリに似ています
しかし、この「Fromage a pate persillee」という表現は適切かもしれません。まさにパセリ状に青カビが“静脈”のように入っているチーズですからね。
逆に日本語の「青カビ」という表現、食べ物に“カビ”と付けることからしてちょっとセンスを疑います。ですから、いまだに「青カビって食べても大丈夫なんですか」と聞かれることもしばしば。英語ではブルーチーズなので、すこし表現もやわらぎますよね。
カビでなければ、なんと呼んだらよいか、妙案があったらぜひ教えてください。