今日はちょっとマニアックなお話です。チーズの奥深さをちょっとご紹介しましょう。
牛以外のレンネットも存在します
チーズを作るときには、ミルクを固めるときに「レンネット」という酵素を使います。これは、昔ながらの方法では“子牛の四番目の胃”から取り出します。胃袋を天日干しにして、そこから抽出するのです。もちろん使われるのは、オスの子牛のものです(メスはミルクを出してくれますからね)。
でも、世界を見ると、牛ばかりが飼育されているわけではありません。レンネットは、反芻動物なら抽出できますから、羊や山羊の胃袋から取り出したレンネットも使用されます。
牛のレンネットと羊のレンネット、実はできるチーズに違いがあるんです。牛のレンネットですと、マイルドな味わいですが、羊のレンネットだと、ちょっと刺激的なピリっとした味わいになるとか。
面白いですよね。羊のほうが酵素の働きが強いのでしょうか。
微生物由来のレンネットはどこ生まれ?
でも、牛や羊のレンネットを使うのは、伝統的なチーズ作りの場合が中心です。だって、たくさんのチーズを作るには大量のレンネットが必要になりますが、そのためにはたくさんの胃袋が必要になります。これは物理的に不可能です。
では何を代わりに使うかというと、微生物から人工的に生産した微生物由来のレンネットです。日本人の化学者が開発したのですが、これで、大量のレンネットを生産することができ、安定したチーズ生産が可能になったわけです。
世界のチーズ作りに、日本人の知恵が貢献しているなんて面白いですね。