
“チーズに合う”本格派ジャム目指して!
日本デルモンテさんと共同開発した、低糖度ジャム「25°Jam」

「もしもし、こちら『日本デルモンテ株式会社』の者ですが、(…中略…)、
“チーズに合うジャム”を共同開発しませんか?」 当社に掛かってきた1本
の電話が全ての始まりでした。
ヨーロッパなどでは、チーズにジャムを合わせて食べる習慣があるのに、まだ日本では一般的ではありません。この現状を打破するために、オーダーチーズ・ドットコムと日本デルモンテさんとで、“チーズに合うジャム”の共同開発がスタートしたのです。
…が、しかし、いきなり「新製品の味は○○風の△△テイストでいきましょうか!」などと進める訳にはいきません。
とりあえず、「有名なジャムを片っ端からお取り寄せ!」と決めて、取り寄せることの出来るジャムは手当たり次第に買い集めるところから始めました。
届いたジャムを手当たり次第に試食していって、とにかくライバルたちを研究していきました。「人気のあるジャムはなぜ売れているのか?」という視点から試食してみて、その特徴を分析、味の傾向を探っていきます。そして、「甘さ(糖度)」「果実の大きさ」「粘度」などを分析して、水平展開し、自分の中での味のトライアングルを作っていきます。
そして、次に考えるのは“組み合わせ”です。
ジャムって、パンに塗って食べるというのが本来的な目的ですよね。「トーストしたパンに塗ってみてどうか?」「チーズに合わせてみたらどうか?」などなど、食べ合わせを研究してみます。
ここまでで分かったこととは、
“パンに塗るととってもおいしいジャムは、チーズに合わせると甘すぎてダメ”。
これに尽きますね。糖度が高いジャムは、ジャムの甘さが強いのでトーストにはバツグンに合います。しかし、これをチーズと組み合わせると、ジャムが強すぎるため、チーズもジャムも引き上がってこないんです。
あと重要なのは“果実”でした。果実が潰れた状態のジャムと、そのまま残っているジャム、これを食べ比べてみると、トーストには果実が潰れたものの方が口当たりも滑らかいいのですが、チーズに合わせると果実実が足りなく、「もう少し果実感があってもいいのに…」となってしまうのです。
そこで、とりあえずの基本的な方向性として、以下の2点を特に気をつけることにしました。
ジャムの糖度は低めの方がいい 果実は、出来るだけ潰れずに残っている方がいい |
と〜っても単純な結論のように思えるかもしれませんが、ここに到達するまでに、何と「2ヶ月間」もこんなことばかりやってたんですよ(笑)
これでとりあえずの勉強期間は終了です。いよいよ実際に理想の“チーズに合うジャム”の開発段階へと移ります!!

この結論を元に、日本デルモンテの担当者さんと打ち合わせを行い、新しいジャムの開発がスタートします。私のコンセプトを丁寧に伝えて、相応しい素材を選定、糖度を低めに設定して、試作品の製造開始です。
最初のスタイルは、当店の要望に添った内容でサンプルを作っていただいて、それを元にチーズに合わせて試食、そして店内で打ち合わせ。この流れを繰り返していきました。
しかし………。ここでハマってしまいました………。。。。
実は、打ち合わせでは毎回、「こんな風にして欲しい」「ここの味のとんがりを抑えて欲しい」「果実をもう少しこうして欲しい」などなど、まぁ、ここに書ききれないくらい色んな要望を出すのですが、何回サンプルを作っみても、どうも思うような仕上がりにならないのです…。
まぁ、よく考えればそりゃ当然ですよね。この件の担当者さんとジャム職人さんは別の方ですから、味に関する細かなリクエストを言葉で伝えるのって、とっても難しいんだと思います。例えば、チーズの味にしても、私が「この味はこう感じた」と書いたとしても、実際に食べてみる方によっては「いやいや、それは正反対じゃない?」と思われることだってあるでしょう。
今回はまさにそのパターンで、サンプルを作って修正、サンプルを作って修正、もう延々とその繰り返しになってしまい、時間だけが無為に過ぎていきました……。日程が遅れに遅れていたため、私が直接、工場まで出向くことにしたのです!!
この工場、「岩手県二戸市」にあります。東京から新幹線で3時間、ここを何度も通いましたよ〜。往復で6時間の長旅になるのですが、新幹線の回数券まで買って、強行日帰り出張を繰り返しました。
最初の頃は、「 何かうるさいヤツが来たな〜(←被害妄想?)」なんて感じがあったジャム職人さんも、何度も足を運んで顔を合わせるようになって、段々と乗せられてきたみたいなんですよね。私の必死な思いが伝わってくれたのか、熱〜い思いが伝染していって、二人でジャム談義を繰り返しながら、何度もサンプル作りを繰り返していきました。
 東北新幹線二戸駅のホームに降り立つ。これで何回目だっただろうか…? |
 素材の選定も重要です。本当に色んな種類のリンゴを試してみました! |
 集中しすぎて、ちょっとエキサイト気味になったりも…(苦笑) |

とにかく、このジャムの基本コンセプトは“低糖度”で、ここはハッキリとしています。この「糖度」とは、たまにスイカに糖度を示すシールが貼ってあったりするのですが、ご覧になったことはあるでしょうか?
今回のジャムの目標とする糖度は、明確に数値で示すと「糖度25°」です。ちなみに、一般的なジャムの場合、これが「50〜65°」ぐらいになりますから、この25°という数字は、常識外れの超低糖度ジャムになるのです。
しかし、低糖度ジャムには、一つ大きなデメリットがあります。それは“日持ちが悪くなる”という点です。
一般的なジャムって賞味期限も長くて、いつまで経っても悪くならないようなイメージすらありますよね? これは甘〜くて糖度が高いので腐りにくくなっているためなんです。じゃあ、同じジャムでも超低糖度にするとどうなるか? さすがに普通のジャムと比べて開封後の日持ちは悪くなります。これは確かにデメリットでしょう。
しかし、その反面、低糖度なので“素材の甘さが引き立つ”という大きなメリットもあるのです。つまり、素材の甘さで糖度を形成するので、素材本来の甘さに近い、とっても自然な甘さが生まれてくるのです!!
で、結局は「メリットとデメリット、どっちを取るのよ?」という話になるんですが…。
もちろん、メリットを取ります!! 低糖度ジャムも、開封後に冷蔵に保管して、早めに食べてもらえれば、それほど大きな問題もありません。今回は、保存食作りを目的としている訳ではありませんし、瓶も大型にせずに、早めに食べきれるようなサイズのものを採用しましたので、このデメリットもそれほど大きな問題にはならないかと思います。当初のコンセプトに沿って、「糖度25°」のジャム開発を進めました。
そして、次に気をつけなくてはいけないのは、“素材の味を損ねないようにすること”です。せっかく低糖度で引き立つ素材の甘さがあるのに、それが曖昧になってしまったのでは元も子もありませんから。
 状態を細かくチェック中。職人さんによる温度管理が重要なのです。 |
 「さぁ、今回こそ上手くいってくれ!」まさに祈るような気分ですね。 |
 糖度計でジャムの甘さを厳しくチェック。真似できないプロの技ですね。 |
このジャムは、全て手作りです。職人さんが大きな釜の前に貼り付いて職人技をふるって作るのですが(あまり詳しいことは「企業秘密」のため書けませんが、途中の行程であんなことをしたり、火加減をあのタイミングでこうしたりと、もうスゴいんですよ!)、最後の瓶詰めが、これまた重要なんです。
大量生産されるジャムは、自動ラインで製造されますから、瓶詰め作業も当然ラインで行います。ところが、ここで機械を使ってしまうと、せっかく残した果実が潰れてしまうのです!!普通のジャムならば問題もないのですが、今回の低糖度ジャムは、もちろんある程度は潰れてはいるのですが、潰れすぎてもらっては困ります。それなりのレベルまでは原型は残しておきたいのです。
 果実の原型を残した、すべて手作りの贅沢なジャム |
はい、そんな思いから、
瓶詰め作業は“手詰め”で行うことになりました!!
このジャムは、1本1本、瓶に優し〜〜く流し込まれているのです。もちろん、ものすごい手間なのですが、この手間を惜しむと、ジャムの仕上がりに大きな影響を及ぼしてしまいますので、ここも妥協できません。
結局、当店が開発に加わったジャムは、ジャム作りも手作業で、瓶詰めも手作業。相変らず、手間と人件費を惜しまない、と〜っても贅沢なジャムになってしまったのです(笑)
そして、開発開始から8ヶ月が経過、ついにジャムのサンプルが完成したのです!!!

今回、開発したジャムは、厳選した素材を使用して、「ルビーアップル」「シトラスマーマレード」「ピュアアプリコット」「ストロベリールージュ」「ハッピーブルーベリー」、この計5種類となりました。
ジャムごとの細かいご説明は、後ほどの商品説明をご覧いただくとして、「ジャムに合うチーズはどれなのか?」、そして「パンに合わせてみたらどうなのか?」ここが最大のポイントになります。

正直に申し上げて、『ブリアサバラン』『リコッタ』『マスカルポーネ』、そして「クリームチーズ」各種。これらの代表的なフレッシュチーズたちは、どのジャムに合わせていただいても、決して外すことはないと思います。かなり自信アリますね!!ぜひそのままジャムを乗せてお召し上がりください。 |

フランスではリンゴと『カマンベール』を合わせる習慣がありますので、同じようにこの果実味たっぷりのジャムも、相性がいいんです。白カビ系のチーズであれば、ほとんどのものと合わせていただいても全く問題ありませんが、どちらかというと、おだやかな風味のほうがよいでしょう。そのまま食べるのでは味わえない、チーズとジャムだからこそのバツグンのハーモニーを楽しんでいただければと思います |

“青カビチーズ+ハチミツ”は王道の組み合わせですが、今回のジャムもまた合いますよ。塩気が強い『ロックフォール』などを合わせると、塩味は緩和されてマイルドになりオススメです。また、私個人的には、中くらいの塩加減の青カビチーズ、具体的には『フルムダンベール』や『ゴルゴンゾーラ』に合わせていただけると、チーズとジャムのバランスが良く、楽しんでいただけると思います。
ただし、この組み合わせは、お好みの個人差も大きいですので、青カビの強さに関しては実際にお試しいただいて判断してください。 |

シェーブルチーズに関しては、フレッシュチーズ同様、ほとんどのチーズで楽しんでいただけます。山羊チーズ独特の酸味とジャムの果実感が、程よい感じです。“ハーモニーを楽しむ”とは、こういう状態のことを言うのでしょうね。爽やかな酸味とジャムの甘さのバランスがとっても好きですね。 |

ハード系のチーズでは、まず『パルミジャーノ・レジャーノ』『ミモレット』は、個人的にはオススメ出来ません。やはり、そのチーズ自体の個性が強すぎるように思います。 『コンテ』『エメンタール』『グリュイエール』『サムソー』『マリボー』あたりだと、それほどクセも強くありませんから、バランスよく味わっていただけます。薄くスライスして、ぜひジャムに合わせてみてください。新しい味わいをお楽しみいただけます。 |

難しいのがウォッシュチーズです。『ラミ・デュ・シャンベルタン』や『エポワス』など、スプーンですくっても食べられるようなチーズでは、チーズの個性が強すぎて、ジャムが負けてしまいます。やはり『ピエダングロワ』のような濃厚なバターのような風味をもつウォッシュチーズがオススメです。適当な大きさにカットして、バゲットにチーズとジャムをのせて味わっていただくと、これまでに無いハーモニーが楽しめることでしょう。
ただし、ウォッシュチーズの場合は、残念ながら白カビやフレッシュ系のチーズほどの感動は得られないかもしれませんね |

最後に、やっぱりトーストにも塗って、その相性を試してみなくてはいけませんよね。「おいおい、“トーストに合うジャムはチーズに合わない”って書いたじゃないか!」と思われるかもしれませんが、これが意外と新しい味わいです。何と言うか、甘いだけではなく、素材の甘さが引き立って、ちょっと“大人のジャム”を感じるんですよね。
一般的なジャムは甘すぎるため、トーストを食べているというよりも、ジャムを食べているような気分になることってありませんか?そのままスプーンで、ジャムをすくって食べているような感じがしたり…。少なくとも、ちょっといいパンを食べる時には、私なら普通のジャムは塗りたくありませんから。
でもこのジャムであれば、問題ありません!!パンとジャムの素材が双方を引き立てあっていることが分かっていただけると思います。やはり素材のバランスって重要なんですよね。
(これも余談なんですが、研究の途中で「ジャムバタートーストにしたらどうなるんだろう…?」と思って、ストロベリーと『イズニー有塩バター』をトーストに塗って食べてみたのですが…、失神するかと思うぐらいおいしかったですね(笑)) |

この後、“それぞれのジャムに最適!”と思われるチーズのご提案をさせていただいておりますが、味わいの感じ方は人それぞれです。決して正解なんてありません。
超低糖度のジャムは、それ自身がおいしいのはもちろんですが、チーズ本来の味を引き立ててくれます。ぜひ、お客さまご自身で、「このチーズは合うわよ!」「いやいや、こっちだって!」と、新しいハーモニーをお楽しみください。
従来に無い発想のジャムを売り出すのですから、やはりパッケージが普通では食欲も失せてしまうというもの。今回の新しいジャムでも、先の「@パルミ」のパッケージデザインを手がけていただいた、著名な空間デザイナー「ナツメトモミチ氏」にデザインを依頼しました。
 果実が十分に見える状態で、25°を全面に |
最近では、某デパートのフロアデザインや、某マンションのエントランス、某上場企業のオフィス移転など、本業の空間デザインの方面で忙しい日々を送っているナツメ氏。パッケージデザインは本業ではないのですが…、一度「@パルミ」を手がけてしまった以上、もう引き返せないですよね(笑)
今回は開発が完了した瓶を持ち込んで、また深夜まで打ち合わせを繰り返しました。まずは実際に食べてもらい、素材のおいしさを体験してもらった上で、いくつもの案を検討しながらデザイン案を絞り込んでいきます。
今回のジャムの最大の特徴は“果実”です。それなら
「果実が十分に見える状態で、25°を全面に打ち出したい。」
こんなコンセプトを立てて、従来のジャムという商品の概念にとらわれない、全く新しいデザインを目指しました。
いくつもの案を考えてはプリンターで印刷し、ジャムの瓶に貼ってみる。そんな地味な作業を繰り返しながら、その1週間後に届いた最終デザインを見て、私は今回のジャムプロジェクトの成功を確信しました。
 瓶詰めしてみた後ですが、まだまだ打ち合わせは続くのです…。 |
 リンゴ園を視察中。皆さん、胸にはお馴染みのデルモンテのマークが。 |
 <番外編>強制連行された松田@カメラマン。こんなのどかなところで作ってます! |

お待たせしました。
オーダーチーズ・ドットコム&日本デルモンテ株式会社共同開発
超低糖度ジャム「25°Jam」シリーズ完成です!!

「果実実」と「糖度」を追求したら、この味にたどり着きました。
これまでに無かった本格的な超低糖度ジャム、ぜひチーズと一緒に召し上がってください!!