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「『モンドール』が冬しか作られない訳」

   

冬になると登場するフランスのウォッシュチーズ『モンドール』。フランスの
法律では「8月15日〜3月15日」までしか製造してはいけないことになっていま
すので、モンドールが登場するのは秋も深まってから。まさに冬の到来を告げ
るチーズなのです。

ちょっと分厚めの皮を取ると、なかはトロトロ! まるでクリームのように熟
成したモンドールはフランスでも大変人気のあるチーズです。「そんなに人気
なら一年中作れば、いつでも食べられるのに…」、そんな声も聞こえてきます
が、実はモンドールが冬しか食べられないのには深〜い訳があったのです。

モンドールが作られているのはフランス東部の山岳地帯。フランシュ・コンテ
地方(別名ジュラ地方)と呼ばれるこの地の代表的なチーズは、ご存知『コン
テ』です。コンテといえば、フランスでの消費量ダントツ No.1 の大人気チー
ズですから、春から秋にかけて牛が出すミルクは、次から次へとコンテ作りに
回され、大量にコンテが生産されます。そう、モンドールに回すミルクなどな
いのです!

しかし、冬は様子が違います。牛は冬になると干草を食べるようになりますが、
こうなるとミルクの出る量がガクンと減ります。さらに、雪深いこの地では、
昔は雪が降るとチーズ工場にミルクを運ぶことができず、自分の家でチーズを
作っていました。コンテの場合、1個を作るためには40リットルものミルクが
必要となるのですが、とても一軒の農家でそんな量はありません。そこで作ら
れたのが、熟成期間が短くて、ミルクの量も手ごろなモンドールだったのです。

コンテの熟成には数ヶ月がかかりますが、モンドールだったら1ヶ月くらいで
食べられるようになります。少ないミルクでできて、作ってしばらくしたら食
べられるチーズというのは、交通が不便だった雪国の冬の生活にはありがたい
もの。つまり、モンドールはコンテが作れない時の“代用品”だったのです。

このため、春になりコンテが作れるようになると、モンドール作りは終了。ま
たせっせと大型チーズ・コンテが作られるようになります。

こんな歴史があったため、モンドールは冬が到来する11月から3月くらいまでの
間作られるチーズとして長年続いてきました。でも、あまりにも人気が出てき
たため製造期間は前倒しになり、今では夏も盛りの8月15日から作ってもよいこ
とになったという訳なんです。少しでも長くおいしいチーズが味わえるという
のは嬉しいことですね。


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