世界のチーズ専門店。お手軽フォンデュやフランス熟成士のカマンベールにモンドール、イズニーAOCバターや話題のラクレットオーブンまで取り揃えております。
【コム・ダビチュード】に足を踏みいれて、まず驚かされるのは「オープンキッチン」になっていることでしょう。カウンターに座ると、額縁の中で働くスタッフの舞台を見ているようでもあり、同時に料理の舞台裏を目の当たりにできるのです。 いったい、どうしてこんな設えにしたのでしょうか? 釜谷孝義シェフによれば、10年前、日本のフランス料理はまだまだ敷居が高く、気軽に利用できないという既成概念があり、その反動のように、気軽な雰囲気のイタリアンが隆盛を極めるようになったのです。 ちょうどそうした時期にオープンした【コム・ダビチュード】は、フレンチの低迷を打破するために、もっとフレンチを身近なものするために、謎に包まれていた部分を開いていくために、そんな思いを込めた自分たちの世代のフレンチの新しい試みとして「オープンキッチン」というアイディアが生まれたのだそうです。 写真にあるのは、そのオープンキッチンから出てきた、赤いガスパチョと緑のアスパラの色鮮やかなソースの[カツオのたたき風マリネ、グリーンアスパラとトマト]。ソースは彩りだけでなく、酸味のあるガスパチョとアスパラのまろやかな味も楽しめる一品です。 茄子の蒸し煮のときのソースを使った主菜の[仔羊肉のローストと長なすのブレゼ、パートフレッシュ添え]は、手打ち麺が敷かれているため、なかなかのボリュームです。 お皿には手作りパンが供されるのですが、ルイボスティー、モロヘイヤ、クロゴマ、ソバ粉、黒米、紅イモなど「10種類」もあり、どれも釜谷シェフのイメージで作られているのだとか。そのため普通のパン屋さんの調合とはかなり違うのだそうです。どのパンも特徴があり、選ぶ楽しみもあり、そしてなによりも美味しいのです。
チーズはコースとは別の扱いになるレストランが多いものですが、【コム・ダビチュード】のディナーコースにはチーズが含まれており、ランチでもチーズかデザートを選べるようになっています。しかも、このチーズが「50種類」も用意されているのです! その多様なチーズの中でも、最も特徴的なのが、定番チーズの他にある「加工チーズ」でしょう。 フランスのチーズ屋さんでは、信頼できる生産者からチーズを購入し、それを熟成させる・お酒で洗う・お酒に漬け込む・フルーツやナッツを挟み込む・乾かす・ドロドロにするなど、さらに手をかけることによって、その店のオリジナルを作りだします。その“フロマージュ・ア・ラ・メゾン”によってお店の良し悪しが決まるというほど、とても重要なものだとされています。 『カマンベール・オー・カルヴァドス』などは、ある店のオリジナルだったものが、作り方が微妙に違うながらも、いつしかどこのお店でも作られるような定番のチーズになった一例なのだとか。 【コム・ダビチュード】にはそんな加工チーズがたくさん揃えられており、また釜谷シェフによって新たな加工チーズが試みられているため、そんなチーズを選んで味わっているのも、同店ならではの楽しみ方でしょう。 チーズは3種類チョイスできるため、いろいろとトライすることができます。定番チーズを食べ慣れた方にとっては新しいチーズを発見するきっかけに、また「チーズはどうも…」と敬遠しがちな方にとっては、「こんな楽しみ方があるんだ」というチーズの楽しみ方を見つけるきっかけになるかもしれません。 写真の左は、リキュールに漬け込まれたカマンベールを、桜の葉の塩漬けで包んだ『スリーズベール』。桜の葉の塩味が効いていて、桜餅のチーズ版のような趣がありました。真ん中の『ラングル・オー・コアントロー』は、口に入れるとリキュールの香りに鼻孔がくすぐられます。右の『カプチヴァン・ダプリコ』はフルム・ダンベールにリキュールに漬け込まれたアプリコットがはさんであり、アプリコットの甘みと青カビチーズの塩気とのマッチングが絶妙なのです。 皿にはパンがトーストして供されます。
キッチンもオープンですが、【コム・ダビチュード】のホームページもまたユニークで、とてもオープンに作られています。 まず、スタッフの顔が見えてきて、釜谷シェフの“熱さ”が伝わるブログも頻繁に更新されています。同店では前菜・主菜・パン・チーズと、いずれも選択肢が多いので、このホームページでだいたいの見当をつけてから出かけることをお勧めします。 釜谷シェフがシェーブルチーズで有名なフランスのロワール地方のレストランで働いていたときのこと。山羊のチーズは熟成ごとにズラリと並べられているが、『カマンベール』は観光客用にと冷蔵庫に入ったままだったそうです。その地域・土地に対する誇りのようなものがあるからなのでしょう。 ワインにしても、フランスならその土地のワインが当たり前のように揃えてあります。それなら、「日本のフレンチレストランでも“地のワイン”に力を入れるべきではないか?」と、お話しをうかがった釜谷シェフは、チーズやパンだけでなく日本のワインに対しても熱く語られていました。 釜谷シェフは最近、クルミを漬け込んだ美味しいハチミツに出会い、そのハチミツを使った加工チーズ作りにトライしているとか。チーズにしてもパンにしても、多くの種類の中から選ぶ楽しみに満ち満ちた【コム・ダビチュード】で、新たなフレンチの楽しみ方をぜひ体験してみてください。
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