
2000年38番目のA.O.C.を獲得したチーズが『モルビエA.O.C』です。このチーズは、スイスとの国境にほど近いコンテ地方で作られます。その土地の人が、コンテを作って残った凝乳で、自宅用に作ったのが始まりではないかといわれています。
またこのチーズには、切り口を見ただけで、すぐそれとわかる特徴があります。それはチーズの中心に黒い線が真横にはしっていること。この黒い線の正体は“鍋のスス”です。
どうしてススなどチーズに入れなくてはいけなかったのでしょうか? その理由は、モルビエが2日間にわたって乳を集めることに関係があります。当時、残った凝乳を翌朝までとっておくため、鍋のススを虫除けとして表面一面にふりかけました。そして翌朝、その上からその日の残りの凝乳を足して、1つのチーズとして作っていたのです。
現在作られているモルビエの黒い線は、ススではなく、植物性の食品添加物が使われているそうです。モルビエの誕生の背景を思うと、日本ではなかなか馴染みのない、生活に密着したチーズライフを感じますね。
そうそう、モルビエの場合、熟成が過度に進むと香りの質と味わいがグッと落ちてしまうタイプのチーズです。ほど良い甘さがあるうちに食べきってしまうことがおいしく味わう秘訣となっています。 |