
1998年、36番目のA.O.C.を獲得したチーズがこの 『ヴァランセA.O.C』 です。A.O.C.ブランドの中ではまだまだ新参もののチーズですが、その知名度は以前から高く、現在でもレストランなどでひっぱりだこだそうです。その人気の秘密は、なんといっても特徴がある外観。色は、木炭粉に自然のカビがついた黒っぽいグレー色、中は真っ白。そして、特に有名なのがその形で、“上部を切り取ったピラミッド型” なのです。チーズのプラトーを作る時に、見映えのアクセントを演出できるチーズとして人気があるのもうなずけます。
そして、その人気を支えているのが、このチーズにまつわる有名な逸話です。チーズを囲んでワイワイやるときに、チーズの逸話は場を盛り上げるのにピッタリ。チーズ通を気取るのもチーズ談義の楽しみの1つですよね。
『ヴァランセA.O.C』 はかつてピラミッド型のチーズでした。それが、エジプト遠征に失敗したナポレオンが、ヴァランセ城に立ち寄った際、チーズのヴァランセを見て、「エジプトのピラミッドのようだ」 と憤慨。ナポレオンの単なる八つ当たりで、ヴァランセの上部を切り落としたというのです。この逸話を思い浮かべながらヴァランセを見てください。なるほど、上部がキレイに切り取られたように見えますよね。
ヴァランセというチーズの名は、村の名前からきています。このヴァランセ村には、先ほどのナポレオンの逸話にも出てくるヴァランセ城があります。チーズだけでなかく、白ワインにもヴァランセという名のものもあるのですよ。ヴァランセ同士の相性も抜群だとか。
このヴァランセの産地、ロワール川流域に位置するこの地方一帯は、シェーブルチーズのメッカのような場所です。A.O.C.を獲得したシェーブルチーズだけでも、『セル・シュール・シェル』、『クロタン』、『プーリニイ・サン・ピエール』、『サント・モール・ド・トゥレーヌ』、『シャビシュー・デュ・ポワトー』 など、そうそうたるシェーブルの名品が顔をそろえています。産地を見るだけでも、ヴァランセのおいしさ、クリーミーで爽やかな酸味の味わいがうなずけますよね。 |