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チーズ塾
Lesson 80

「モンドール」が冬しか作られない訳

冬になると登場するフランスのウォッシュチーズ『モンドール』。フランスの法律では「8月15日〜3月15日」までしか製造してはいけないことになっていますので、モンドールが登場するのは秋も深まってから。まさに冬の到来を告げるチーズなのです。

ちょっと分厚めの皮を取ると、なかはトロトロ! まるでクリームのように熟成したモンドールはフランスでも大変人気のあるチーズです。「そんなに人気なら一年中作れば、いつでも食べられるのに…」、そんな声も聞こえてきますが、実はモンドールが冬しか食べられないのには深〜い訳があったのです。

モンドールが作られているのはフランス東部の山岳地帯。フランシュ・コンテ地方(別名ジュラ地方)と呼ばれるこの地の代表的なチーズは、ご存知『コンテ』です。コンテといえば、フランスでの消費量ダントツ No.1 の大人気チーズですから、春から秋にかけて牛が出すミルクは、次から次へとコンテ作りに回され、大量にコンテが生産されます。そう、モンドールに回すミルクなどないのです!

しかし、冬は様子が違います。牛は冬になると干草を食べるようになりますが、こうなるとミルクの出る量がガクンと減ります。さらに、雪深いこの地では、昔は雪が降るとチーズ工場にミルクを運ぶことができず、自分の家でチーズを作っていました。コンテの場合、1個を作るためには40リットルものミルクが
必要となるのですが、とても一軒の農家でそんな量はありません。そこで作られたのが、熟成期間が短くて、ミルクの量も手ごろなモンドールだったのです。

コンテの熟成には数ヶ月がかかりますが、モンドールだったら1ヶ月くらいで食べられるようになります。少ないミルクでできて、作ってしばらくしたら食べられるチーズというのは、交通が不便だった雪国の冬の生活にはありがたいもの。つまり、モンドールはコンテが作れない時の“代用品”だったのです。

このため、春になりコンテが作れるようになると、モンドール作りは終了。またせっせと大型チーズ・コンテが作られるようになります。

こんな歴史があったため、モンドールは冬が到来する11月から3月くらいまでの間作られるチーズとして長年続いてきました。でも、あまりにも人気が出てきたため製造期間は前倒しになり、今では夏も盛りの8月15日から作ってもよいことになったという訳なんです。少しでも長くおいしいチーズが味わえるというのは嬉しいことですね。


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